嗅覚障害は新型コロナウイルス感染症の症状の一つです。匂いの成分は、鼻の中の嗅上皮という部分にある嗅細胞を刺激することで匂いを感じることが出来ます。嗅上皮では、嗅細胞の周りを支持細胞によって囲まれています。ドイツとベルギーの共同研究チームが新型コロナウイルスに感染したヒトの鼻腔組織を詳細に解析した結果、新型コロナウイルスは嗅細胞には感染せず、その周囲の支持細胞に感染することを明らかにしました(文献1)。嗅細胞を間接的に障害するために、嗅覚が障害されると考えられます。
嗅覚障害は、新型コロナウイルス感染症の他、風邪ウイルスによる鼻炎、花粉症などのアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎でも起こりますので、それぞれ原因に対応した治療が必要です。
(文責:福山、2022年4月5日)
- Visualizing in deceased COVID-19 patients how SARS-CoV-2 attacks the respiratory and olfactory mucosae but spares the olfactory bulb. Mona Khan, 他、Cell; 24 November, 2021.