肺炎球菌ワクチン
対象:主に65歳以上の方。
目的:肺炎球菌による感染症(気管支炎、肺炎、敗血症など)を予防します。
ワクチンの種類:ニューモバックス (23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)
費用:公費(詳しくは横須賀市など自治体HP)もしくは自費(8000円)
肺炎球菌ワクチンについて
肺炎球菌は呼吸器感染症の原因になる代表的な病原菌の一つで、乳幼児の鼻咽頭から高率で検出されます(1)。中耳炎、鼻副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症だけでなく、侵襲性肺炎球菌感染症と呼ばれる髄膜炎、敗血症を引き起こすことがあります。
死亡原因で肺炎の占める割合は大きく、悪性腫瘍(27.6%)、心疾患(15.0%)、老衰(9.6%)、脳血管疾患(7.5%)に続く第5位(5.7%)です(2)。そして、肺炎の原因は数多くありますが、市中で起こる肺炎では肺炎球菌によるものが最も多いです(3)。
肺炎球菌は約100種類の血清型が存在します。23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)は、その中の23種類の血清型に対する感染を予防します。65歳以上を対象とした研究では、肺炎球菌による市中肺炎に対するPPSV23の予防効果は27.4%でした(4)。PPSV23の予防効果は5年で低下すると考えられており、5 年以上の間隔をおいて PPSV23 を再接種することが可能です。肺炎球菌ワクチンには、PPSV23の他に13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)があります。より肺炎球菌に対する免疫効果を高める事を期待して、PCV7とPPSV23の連続接種も可能です(5)。
(文責:福山、2022年4月29日)
文献
- Otsuka T, et al. Individual risk factors associated with nasopharyngeal colonization with Streptococcus pneumo- niae and Haemophilus influenzae: a Japanese Birth Cohort Study. Pediatr Infect Dis J 32, 709-714, 2013.
- 厚生労働省. 令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
- 石田 直.呼吸器ケア. 1(4): 436-443, 2003.
- Suzuki M, et al. Serotype-specific effectiveness of 23-valent pneumococcal polysaccharide vaccine against pneumococcal pneumonia in adults aged 65 years or older: a multicentre, prospective, test-negative design study. Lancet Infect Dis. 17(3), 313-321, 2017
- 日本感染症学会. 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第3版 2019-10-30)